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〔さまよえる戦争画〕を観て

昨日NHKテレビBS放送で〔さまよえる戦争画 従軍画家と遺族達〕というドキュメンタリーを観ました。2時間に及ぶ重厚な内容の記録は、あらためて戦争というものが美術界にも深い傷を残したまま現在に至っているという事を知らされます。

ドキュメンタリーは北海道に住む高齢の一画家小川原脩の言葉を軸に進みます。彼は当時新鋭の画家でしたが先輩の勧めで戦争画を描く事に同意したというのです。戦争画の依頼の話があったとき、画家達の間にも賛否両論があって、国に従事すべきだと考えるものとそれを激しく非難するものとの対立があったそうです。

藤田嗣治、小磯良平 宮本三郎 伊原宇三郎 清水登之など日本を代表するそうそうたる画家達が従軍画家として多くの戦争画を残しています。その絵は現在東京国立近代美術館に153点保管されているそうですが、一時プロパカンダ〔戦争を目的として描かれたもの〕としてアメリカに没収されたのですが1970年に日本に戻されたという事です。一般公開の話もあったということですが公開直前に中止ということでそのままになり後公開の話はありません。

画家達の遺族、弟子の話では率先して従軍した画家でも敗戦後は自らの行為に苦しむ事になったようです。宮本三郎は戦犯になるのではと考えたし、伊原は作品の為のデッサン、スケッチなどを焼いたというのです。小磯良平は自分の描いた戦争画を2度と見たくない思いがあったと。。。藤田嗣治はパリから日本に戻らなかったのも描いた戦争画と無関係ではないようです。

小川原脩は中央画壇には戻らず、北海道で制作を続けるのですが、群集の醜さ、それに尾を振らない孤立したものをテーマに描くのは、やはり戦争という狂乱の時代に飲み込まれた自身を生涯重荷として考えていたからでしょう。彼はこのドキュメンタリーを撮った後91歳で亡くなられたということでした。

2時間という時間が短く感じられる重厚なドキュメンタリーを制作するのはやはりNHKならではという思いで観ました。

P1110124

戦争画の最高傑作といわれる宮本三郎画〔山下パーシバル両司令官会見図〕

本が古いので見難いのはご容赦を。。。

 

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絵画」カテゴリの記事

コメント

おキヨ様が観られたドキュメンタリー「さまよえる戦争画・・」は再放送ですよネ・・以前私も観た覚えがございます。
戦争が終わってあの時代の絵を非難するのも些か無理があるのではないかと?
正直なところ私は思いましたよ・・自らすすんで描いた御方も、不本意ながら軍部の要請に逆らう事無く描いた御方も居たに違いありません。
あの戦争画を非難する人も、仮にあの大戦で日本が勝利してたら
どんな事を云ってのけたのでしょうね?

人はその時その時、実に勝手な事を云いますよ
まぁ、藤田嗣治もそんな日本画壇の連中に愛想を尽かしてフランスへ旅だったんだと思います・・

投稿: 伊藤 | 2010年1月25日 (月) 02時15分

伊藤様
お久しぶりです。
そうです。これは再放送ですが私は今回はじめて観ました。話としては断片的に戦時中の画壇の混乱を聞いていましたが、画家達が板ばさみになって個々に苦しんでいた様子を遺族や弟子、小川原脩は自身の口で語ったのを聞いたのは初めてです。画壇も戦時下の中の戦争があったようですよ。弾圧も。。。
ある画家などは個人攻撃を受け、娼婦的行動とか日本軍の犬とか言われたと聞いたことがあります。戦後名を上げても国の力だと陰口をいわれたりしたそうです。ごく最近までも国民的画家をそのような言い方をした画家がいてそれは雑誌で読みました。
とにかく戦争というものはいろんな所に消えない影を残しているものですね。。。

投稿: おキヨ | 2010年1月25日 (月) 11時42分

伊藤さんhappy01こんな所に出没してたのね?
私の所にもコメント入れてよっsnow

おキヨ様。。。
私たちは絵が描けないので状況的な苦悩にも遭遇する
事がないんですが。。。
どんなもんでしょうねぇ?
多くの作家も戦時中には殆ど書いてないようですし
私の尊敬の谷崎なども細雪は駄目と言われてお蔵にされているし。。。
光と影ですよね?
それは戦時中だから。。。もあるけど
個人的な事では平和な時代にもあることではないでしょうか?

投稿: sunday | 2010年1月25日 (月) 17時27分

Sunday様
ははは、おかんむりですね、Sundayちゃん!伊藤さんという方しばらく姿をくらましてはひょっこりと現れる忍者のような。。。happy01また何かに没頭されていらっしゃるんではないでしょうか。

描きたくもない戦争画を描かなければならない当時の画家は苦悩したでしょう。嫌だとはいえないご時勢でしたからね。あげくは戦争に負けて従事しなかった側からの激しいつるし上げでしょう。たまったものではありませんよ。。。そのために画壇へ戻れなかった画家も大勢いたはずです。
そうでしょうね、作家達も戦時下ではそう自由な事は書けなかったでしょうね。なにから何まで抑圧された時代です。

投稿: おキヨ | 2010年1月25日 (月) 19時40分

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