« 暑さを楽しむ? | トップページ | 伯父の事 »

日本人の五感

横尾忠則著〔猫背の目線〕という、変わった、というよりいかにも氏らしい題名の本を読んでいます。副題として〔嫌なことはせず、好きなことだけをする〕はとっくの昔に実践している私としては大いに共感をおぼえるものです。老齢になると誰しも大なり小なりそういう心境になるのではないでしょうか。

中に、彼が10代の頃として〔家に冷蔵庫も扇風機もなかった。家中の窓や戸を全部開け放して、畳の上にゴロンと寝転がって、ウチワでパタパタ扇いで、井戸で冷やしたまくわ瓜やスイカで涼を取っていた。そんな生活には風鈴やすだれや金魚鉢などが五感に涼を送ってくれていた。〕という件があります。

昭和30年辺りまでの一般家庭で育った方には皆さん懐かしい光景が思い浮かぶのではないでしょうか。思えば風鈴もウチワもすだれも最近あまり見なくなりました。マクワ瓜はメロンというやたら水気の多い、味も見かけも名前も気取ったものに代わってしまいました。。。

いつだったか、隣の風鈴の音が気になって眠れないということを新聞か何かで見かけましたが、涼を感じるどころか風鈴の音が雑音となってしまったのです。著書の中で横尾氏は〔西洋人は日本旅館に泊まって枕元で聞こえる清流の音や虫の声などは単なる雑音で、うるさくて眠れないという。。。〕とも書いています。

風鈴の音がうるさく感じるのは、悲しいかな日本人の感性も西洋人並みのものとなってしまったということになりそうです。

P1120032

|

« 暑さを楽しむ? | トップページ | 伯父の事 »

雑記」カテゴリの記事

コメント

昔、商売屋さんって夏になるとウチワの裏に屋号の入ったものをよく呉れましたよネ・・美人画を描いた物、涼風漂う桔梗の花をあしらったもの、その他金魚と藻などを描いたもの、色々でございました。

そんな風流なウチワを盆踊りの夜に浴衣の帯に差し込む姿も思い浮かんでまいります、時は移って今や若い娘達が浴衣姿で手に持つウチワはキティーちゃんの絵でございますしかもウチワの骨はプラスチック
そこに何の風情がございましょうや・・(笑)

投稿: 伊藤 | 2010年7月23日 (金) 15時05分

伊藤様
そうですね。大人数の我が家など商店から頂いた中からそれぞれ好みの絵柄を選んで自分専用にしたものです。大人数ですからね扇風機1台ぐらいでは役に立たず、なんたってウチワが良かったんです。

今の若い子たちは浴衣にかぎらず着物を着こなす体型ではないですね。なんとなくぐじゃっとしまらない着方をしています。あんなに脚が長いと帯の位置が定まらないんだと思いますよ。
着物は胴長短足のもの。。。happy01


投稿: おキヨ | 2010年7月23日 (金) 19時01分

おキヨさん
荒れれれ。両方とも読んでいただいています。
有難う存じます。
いずれも、私の友人ですので、なお、おキヨさんが近しく感じます。
「猫背の目線」の、第2項当たりに、西脇病院院長に診断を受けた場面が出てきました。
この時だって、彼を折角院長の前まで連れて行くと、診察室に入る直前に「来住さん、なんか、直ったみたい」と、幼児性が出てきました。
でも、ここまで来たのだから、引き返すわけにはいきません。宥めながら、MRIを撮って貰ったのでした。
アトリエで過ごした10日間ほどが懐かしい感じです。何度か、私のアトリエで過ごしましたが・・。
「病の神様」と言うエッセイ集にも同じ場面は出てきますが、病院好きの横尾さんなのです。今は、時々、ドッグに入って、異常なしだとのことです。
何とか元気で居てくださいと何時も「ご自愛ご専一に」はがきを書いています。
詩人・藤木明子さんも、古い知人でしたが、この装丁を機に何度も交信、交流を持つようになりました。 私よりも少しだけ年長です。 知的好奇心の強い詩人で、著書は10冊は下らないと思います。
 人の出会いの素敵、不思議に痛く感銘するこの頃なのです。
8月20日に、横尾さんを招いて、「レセプション」を企画しています。ご夫婦との交流を市長以下100人ぐらいで開催の予定です。
9月2日には、サムホール大賞展の審査で折り返してもう一度ご一緒します。
 お寄与さんを誘ってみたいものですが、遠方ですのでどうにもなりません。

投稿: 来住しげ樹 | 2010年7月23日 (金) 22時55分

来住先生
〔猫背の目線〕は来住先生のブログで知ったのか、横尾さんのブログだったのか思い出せませんがとにかく楽しみでした。発売になったらすぐに読みたいと思っていましたので。

横尾忠則の人となりが文章の間からゆらゆらと立ち昇ってくるような著書です。若い頃はゆらゆらなどというような表現の人物ではなく、強烈で個性的なタイプに感じられましたが、円熟されたというか。。。しかし横尾さんは横尾さん。数行ごとにぱしっと独自の思考がのぞきます。

病院の前で〔もう直った・・・〕は思わず笑いますね。大人物の幼児性はいっそう魅力的です。

書かれてある〔友人のアトリエで・・・〕というのは来住先生のアトリエだと思いました^^
先生のおかげで横尾忠則が〔雲の上〕から降りてきたような感じを受けながら本を読んでおります^^
とても人間性の豊な魅力ある人物ですね。以前の著書も読みたくなりました。


投稿: おキヨ | 2010年7月24日 (土) 00時11分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 暑さを楽しむ? | トップページ | 伯父の事 »