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ある意味暴露本?

高峰秀子著〔わたしの渡世日記〕第三巻を読んでいます。歯に衣着せぬ痛快さ、鋭い洞察力や飾りけのない文章で、交流のあった著名人のエピソードを実名で繰り広げますが、尊厳を傷つけたり、過剰な持ち上げをすることなく、一人ひとりの人物像を鮮やかに書き表していて、名エッセイストといわれる所以を遺憾なく発揮しています。

なかでも文豪谷崎潤一郎が面白かった。高峰秀子さんの目には文豪の顔が魚の鯛によく似ていたとか。。。大谷崎は大変な美食家で、そのためなら時間を惜しまずどこまでも出かけたそうです。馴染みの店でも味付けが悪かったり、意にそまぬ料理が出ると、女将を呼びつけ〔今日のお客様に対して、このような料理だと招待した私が恥ずかしい!〕と不機嫌を露わしたいうことです。また大好きなお吸い物をテーブルにこぼし、かの大谷崎、〔あァ、勿体ない!〕といって、テーブルに口を付けてじゅうじゅう音を立てて吸ったという話。親交の深かった高峰秀子さんならでは文豪の知られざる一面とても興味深く読みました。

その他、黒沢明との淡い初恋、中村メイコに対しての余計なお世話の話、チャーチル会という絵画クラブで一緒だった藤山愛一郎の下手な絵の話、木下恵介の女に対する辛らつさなどなど。

昨年86歳で亡くなられた高峰秀子は私の年代では偉大な女優。哀惜の念をもって自伝物語を読んでいます。

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日記」カテゴリの記事

コメント

谷崎潤一郎の話、面白いですね~。美食家とは聞いていたけど大したものです。高峰さんは谷崎に可愛がられたのでしょう。
黒沢明との淡い初恋!? それは知りませんでした。どんな感じだったのでしょうか・・・
木下恵介の女性に対する辛辣さというのも面白いですね。あれほどヒューマンタッチの大監督が、辛辣な目で女性を見ていたとは。
いや、批判精神を持って見ているからこそ、真実味のある女性像を描けるのでしょう。
でも、木下監督は高峰さんには優しかったと思いますよ(笑)lovely

投稿: 矢嶋武弘 | 2011年3月10日 (木) 07時09分

矢嶋様
高峰秀子の聡明さ、ユニークな人柄は一流の人物達をも魅了したようですね。彼女は女優をして最も得をしたのはこうした各界の大人物たちとの交流だったといっています。

黒沢明との淡い交際は、当時の映画界、また身内の正真正銘〔ドル箱〕であった彼女のスキャンダルを未然に防ぐため彼女の養母に強硬に別れさせられたので、表ざたにならずに世間に知られていないようですね。
気にした恵介が女性を〔バカでのろま〕といって憚らなかったそうですが、秀子さんが例外だったのは〔男とみなされていたようだ〕ということです^^

これから最も親交の深かった大画家梅原龍三郎の話になりますので楽しみです。

投稿: おキヨ | 2011年3月10日 (木) 11時40分

矢嶋様追伸
〔木下恵介〕の字が変換ミスになってしまいました^_^;

投稿: おキヨ | 2011年3月10日 (木) 11時44分

おキヨさん
 彼女のエッセイは、独特ですよね。
 谷崎についての寂聴さんの「奇縁まんだら」はもっともっと暴露性が深いのがあります。
 彼女も、谷崎のもろもろに魅かれていたのでしょうね。 ほしかった賞「谷崎潤一郎賞」も取れました。  そんなこともあるのかも知れませんし、齢の爛慢さが、させた話かも知れませんが、宇野千代の項などは、分別を超えた暴露さ加減です。
 齢とは、見さかいさえ失わせるのかも、と同時に
そのこと自身が、好いのかもとさえ思わせてしまう力に、ただ、羨望を覚えてしまうのです。
  話は飛びますが、「素材総合展の織物」今日発送しました。

投稿: 風の樹人 | 2011年3月10日 (木) 21時15分

高峰秀子は最も好きな女優でした。
数ある彼女の映画の中でこの1本をあげるとすれば、「浮雲」をあげる人が多いようです。
しかし、彼女に限っては名作といわれる映画が十指に余るほどあります。名女優といわれるゆえんです。惜しい人を失いました。

投稿: 周坊 | 2011年3月10日 (木) 21時25分

高峰秀子さんが何冊も本を出していたなんて
知りませんでした(無知)。
あの時代の大スターで、やはり親交のあった人達も
錚錚たるメンバー。今の女優さんはこんなお付き合い
してるのかしら。

前の記事(伊達氏)、嫂の字、初めて知りました(
またまた無知)。久しぶりに辞書引いたら、まぁ女偏の多いこと!日本語ってほんと楽しい♪

投稿: バルおばさん | 2011年3月10日 (木) 23時13分

風の樹人様
高峰秀子の気質がそのまま文章に表れていて、面白く読んでいます。並みの男性では恐らく歯が立たないタイプの女性でしょうね。自然交友関係も各界頂点の人物となってくるのは解るような気もします。

ある種の狂気性がなければ突出した小説家にはなれないと思います。瀬戸内寂聴、宇野千代など、特異な生き方が身上の私小説は読み応えがありますね。

やはり経験は何にもまして文章に迫力を感じさせます。

投稿: おキヨ | 2011年3月11日 (金) 02時10分

周坊様
貴方様が高峰秀子という女優をお好きなのはなんとなく解ります。
理知的な人間性が演技から透けて見えるようなところがありましたからね。
私は高峰秀子の映画はそうたくさんは観ていませんが代表作〔二十四の瞳〕〔浮雲〕それから〔カルメン故郷に帰る〕などを観ています。
子役からですから作品は膨大でしょうね。。。
ほんとうに。。。残念ですね。

投稿: おキヨ | 2011年3月11日 (金) 02時18分

バルおばさん様

私も彼女のエッセイは、雑誌などで読んだだけです。でもエッセイストとしては有名だったんですよ。バルちゃんまだお若いから。これも貴女のお母様の時代の女優ですからね。。。

今の女優さんとは中身が違うと思いますよ。吉永小百合さんあたりは聡明な方とわかりますが、高峰秀子はもっと一味も二味も違う面のある女優のような気がします。

お!嫂をご存じなかった!兄嫁のほうが今風かな^_^;

女偏そんなにあるの!?いろんなところに女は使われているんだ。。。eye

投稿: おキヨ | 2011年3月11日 (金) 02時30分

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