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〔蛍の森〕

ハンセン氏病をテーマに書いた石井光太著〔蛍の森〕を読み終えました。

らい病を患った人たちが国に捨てられ四国の山奥に集団で暮らす物語ですが、その過酷な運命と凄惨な生き方を60年前にさかのぼって書かれています。 

小説ですからフィクションとして読むべきでしょうが、60年前といえば私はもう世の中の出来ごとの判断のつく年齢で、ハンセン氏病に対する世間の偏見差別は充分に解っていました。ですから社会が病気を患った人達をいかに冷酷に扱ったかを事実であった、それ以上であったかもしれないと思いながら本を読み進みました。

国自体がまず激しい差別の対象にするわけですから、地方の町や村は推して知るべしで、病気が発生した家族は一家心中をした例も珍しくなかったのです。 

ハンセン氏病に対し国が重大な過ちとして謝罪、らい病防止法を廃止したのは1996年というつい最近のことです。

〔蛍の森〕はハンセン氏病の発病者が、国の病気に対する無知と過ちのため、いかに生き地獄を見たかがつぶさに書かれています。 

ただ私見として、この重いテーマにそぐわない描写が随所にあり、それが作品の質を下げている感が否めません。

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読書」カテゴリの記事

コメント

らい病といえば、神谷美恵子さんを思い出しました。クリスチャンで、精神科の医師だった神谷さんは献身的に治療に参加しましたが、その著作集は私の宝物です。世の中にこんな素晴らしい人がいたのか、と感動しました。

投稿: OKCHAN | 2014年3月20日 (木) 08時39分

OKCHAN様
ハンセン病を発した方々の中には著名な俳人歌人がおりますね。
村越化石さんもそのお一人で、残念ながら今年3月にお亡くなりになりました。
発病により過酷な運命を課せられ、思考を深める習性が身に付いた結果の発露という気がします。

投稿: おキヨ | 2014年3月20日 (木) 11時22分

おキヨ様 こんにちはhappy01
 私も子供の頃ライ病にかかると離島で生活
 しないといけなくなると聞いていました。
 病気だけでなく偏見、差別と闘わなくては
 ならなかった患者さんとその家族のことを
 思うと本当に心が痛みます。
 中学の頃はイタイイタイ病や水俣病のことが
 問題になっていました。
 今の豊かになった日本から想像できない時代が
 あったんですよねthink

投稿: Shana | 2014年3月20日 (木) 11時40分

Shana様

今私はいかにもハンセン病を理解したようなことを書いていますが、じつは昔一般社会と同じ〔残酷側〕だったのです。
ただのアレルギーでさえ噂の元になると小さな町では変な目で見たりしましたよ。田舎はこういう場合一層残酷ですからね。

医学的無知が非人間的な恐ろしい事態を生むということを知らなければならないと思います。

投稿: おキヨ | 2014年3月20日 (木) 12時41分

おキヨ様、こんばんは。
 私も神谷美恵子さんを思い浮かべてしまいました。それから「砂の器」でしょうか。映画では加藤嘉さんがハンセン氏病患者の役でした。後にテレビドラマとしても何度が放映されましたが、偏見や差別を助長するとして、凶悪殺人犯などに差し替えられてました。
 歴史上最も忌み嫌われた病ではないでしょうか。遺伝病のような風評にさらされたことも差別や隔離に拍車を掛けたのでしょう。ロマンチック街道を走ってると草津に施設がありますが、近い将来無くなる日が来ると思います。スキンヘッドの作家はマスコミにも積極的に出てる人ですね。このテーマは小説、虚構と言っても違和感を覚える人も多いでしょう。
 

投稿: 宵待ち草 | 2014年3月20日 (木) 21時22分

宵待ち草様
こんばんは。
神谷美恵子さん・・・ハンセン病患者に貢献した精神科の先生ですね。
松本清張の〔砂の器〕この小説は映画化、テレビドラマになっているのでよく知られています。
私は遠藤周作の〔私が捨てた女〕を思い出します。
歴史上もっとも忌み嫌われた病・・・そうかもしれません。なにしろ人間の形が著しく変容するわけですから本人の苦しみは想像を絶するものがあるとおもいます。。
人間を含めた諸動物は異形のものを本能的に拒否する習性をもっていますね。理性とか他者への慈愛などそこにはないのです。人の心の中にはそういう原始的な残忍性が潜んでいるのですね。

石井光太という作家の作品は初めてです。
スキンヘッドなんですね。〔永遠のゼロ〕の人気作家もスキンヘッドですが、最近の作家の流行りでしょうか(^o^)

投稿: おキヨ | 2014年3月21日 (金) 01時03分

こんばんは

私は重いテーマの小説を読むと、ちょっと気が滅入ってしまいます。
人間って誰でも悪意や残忍性を持っている存在なんだと思い知らされてしまうので。
普通って何なんだろう?ということも考えますね。
普通に生きていると、普通に生きることが困難だったり偏見を持たれたりしている人たちのことは他人事になってしまう。
この時代に生きていたら、きっと私も彼らを忌み嫌う存在だったかもしれません。

投稿: silent-holly | 2014年3月21日 (金) 01時34分

silent-hory様
そうですね。確かに読んだ後しばらくは考えさせられます。

そうなんですね。人間は口では尤もらしいことを云っても自分をなげうってまで他人の為にはなかなかできません。東北大震災に対してもそうですよね。気持ちはたえず寄せてはいてもやはり自分第一です。
またいじめがあっても自分を犠牲にしてまで庇うことをしませんよね。それが〔普通〕だと思うのです。
私も若い頃はハンセン病の噂のあったお宅の前を通るときには息を抑えたものです。
残酷な側に居た一人です。

投稿: おキヨ | 2014年3月21日 (金) 02時39分

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