〔蜩の記〕を観る
映画〔蜩の記〕を観てきました。私はかって時代劇映画というものをほとんど観たことが無かったのですが、近ごろの時代劇は秀作が多いですね。〔蜩の記〕を観ていっそうその感を強めました。
物語は ふとしたことで刃傷沙汰を起こした檀野正三郎は 藩の側室と不義密通を犯した罪で豊後の山奥に3年後に切腹という条件で家族共々幽閉されている戸田秋谷の監視を命ぜられる。 戸田秋谷と共に暮らしているうち、正三郎は秋谷の清廉な生き方に彼の犯した罪というものに疑問を抱くようになる、さらに秋谷野の武士の誇りと覚悟に魅かれるようになる。
映画はドラマチックでもなく、これと云った見せ場のないつくりですが、余韻を残す良い作品に仕上がっています。
原作は、第146回直木賞受賞を受けた葉室麟の作品〔秋蜩〕。 映画の題名になった〔蜩の記〕とは死にゆく秋谷が毎日書き綴っている日記です。
出演者がよかったですね。役所広司の武士としての居ずまい、風格はさすがだと思いました。岡田准一は〔永遠の0〕といいNHKテレビドラマ〔軍師官兵衛〕といい、彼の本質がほの見えるような良い役者に成長していますね
秋谷の妻を演じた原田美枝子、 娘役の堀北真希、出演者達の所作が美しかった。映像美もよかったですね。
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コメント
周平作品とか『蜩の記』のような、言葉に尽くせない陰影が行間に漂うような作品を映像化するのはそうとうに勇気がいるのではないでしょうか。
私は原作から受けた静謐な感動が損なわれるような気がして、ついつい映画を観る機会を逸していますが、さてどうしましょうか・・・。
投稿: 風花爺さん | 2014年10月 9日 (木) 19時41分
おキヨさん、こんばんは
最近は時代劇に凝っていますので、見たい映画の中では一番。他には無い事も有りますが、おキヨさんのブログを見て観に行きたくなりました。最近は映画も話題になりませんね。
投稿: 岳 | 2014年10月 9日 (木) 20時06分
風花爺さん様
私もそう思います。ですから余程映画というものの深部に長けた監督とスタッフのチームワークでなければ成功しがたいのではないでしょうか。
映画そのものを楽しむには原作を読むのは後にした方がいいと考えました。
先に原作を読んでしまうとどうしても不満が残りますね。
蜩の記は映画としては地味な作品ですが味わい深さはあります。
投稿: おキヨ | 2014年10月 9日 (木) 23時51分
岳様 こんばんは。
藤沢周平ファンの岳さんならこの映画は面白くご覧になれると思いますよ。
細部にこの映画作りに携わった関係者、出演俳優たちの静かな意気込みが感じられて、地味ながら質の高い作品に思えました。
投稿: おキヨ | 2014年10月 9日 (木) 23時58分